介護保険を使用して行えるサービスの一つに住宅改修というものがあります。
今回は住宅改修についてできるだけ簡単に説明したいと思います。
制度とか難しい話はなるべくしないで、どこにどんなことが出来るかって言うのをざっくり説明できたらいいな~と思ってます。
そもそも介護保険の住宅改修とは
「住宅改修」という言葉は聞いたことありますか?
あんまり聞いたことがないっていう方が多いでしょう。
住み慣れた家でもずーっと住んで高齢になると色々と不便に思うことが出てきます。
例えばあがりかまちが高くて上がりにくい…とか
階段が急で上がりにくい…とか
玄関アプローチに段差があって上がりに…
上がりにくいばっか!
まぁ意外と家というのは段差があるもんです。
他にも麻痺などで今までできてた動作が出来なかったりします。
そういうときに段差をなくしたり、手すりを付けたりする工事を
住宅改修
といいます。
そしてその工事が生活をするのに必要だと認められた場合、かかった金額の9割(所得により8~7割)が支給されるというのが
介護保険の住宅改修
というものです。
まぁ簡単に言えば手すり付けたり扉を付け替えたり段差なくしたりする工事を1割(所得により2~3割)負担でできる!と思ってもらったらいいと思います。
どんな人が対象になるか
介護保険の住宅改修は介護認定さえ認定されていればどの介護度でも対象となります。
なので要支援1(一番軽い度合い)でも使うことが出来ます。
ぼく的には要支援1でも出ればすぐに手すりを取り付けることをおすすめしてます。
理由はこちらに詳しく説明してますんでよろしければ。
ただ前提条件として「そこに住んでいる」というのがあるのでご注意を!
いくら支給されるのか
支給される金額はどの介護度でも一律で限度額20万円です。
ちょっとややこしいんですが20万円もらえるというわけではないです。
「20万円までは介護保険が適用されますよ」
ということです。
つまり自己負担割合が1割の人の場合は、20万円の1割が自己負担(つまり2万円)で残り18万円が支給されるということ。
つまり支給される金額は最大で18万円ですね。
工事費が20万円を超える場合は当然自己負担となります。
(30万円かかったとしたら12万円(20万円の1割+超過分10万円)が自己負担ね。)
また、自治体によっては介護保険とは別に独自の制度がある場合もあるので住宅改修を考えている方は一度チェックした方が良いと思います!
(100万円まで補助します!という自治体もあります。)
住宅改修で出来ること
住宅改修しよ!と思ってる方にお伝えしておきます。
どこでも何でもできるわけではないですよ!
20万円以内なら何をしてもいいっていうもんではありません。
それなりに厳しい決まりがあります。
許可が下りなければ全額自己負担になる可能性もありますのでご注意を!
住宅改修として認められるものを説明していきます。
手すりの取り付け
廊下、玄関、トイレ、お風呂などまぁ家の中なら大体どこでもOK。
ただ「取り付け」る必要があるので取り外しが出来るものは対象外です。
お風呂の浴槽に挟んで使う手すりとかはダメ。
(そういうのは福祉用具購入で介護保険がききます)
段差の解消
廊下から部屋とかの小さい段差から、あがりかまちの段差など段差があれば対象となります。
玄関アプローチを車いすで移動するためスロープを作る。
というのもあり。(20万円以内でできるかどうかは別ですが)
これも取り付ける必要があるのでただ台やスロープを置いて完了!では通りません。
工事をしても段差解消機は対象外。
すべり止め防止のため床材の変更
浴室の床を滑りにくいものに変更するとか階段にすべり止めを貼りつけるとか。
床材自体を変更する工事が対象となります。
そのためお風呂にすべり止めマットを敷いたりするだけでは対象外になります。
引き戸等への扉の取替え
開き戸の扉を引き戸に変更するのは対象となります。
(そのための付随工事も)
また、麻痺のために開く方向を変更する工事も対象となります。
開けやすくするようドアノブの変更や戸車の設置も対象に。
門扉も対象になりますが、「車いすで通るために門扉の開口部分を広げる」というのは対象になりませんでした。
洋式便器等への便器の取替え
和式便器から洋式便器に変更するための工事が対象になります。
洋式便器の向きを変えるのも対象になります。
すでに洋式便器でウォシュレットを付けるだけというのは対象になりません。
大体の事は業者さんも融通をきかせて通るように頑張ってくれると思いますが、無理なこともあるので何でもできるとは思わないでください。
出来る出来ないの相談はどんどんしてもらっていいですよ!
住宅改修するのに必要なこと
住宅改修をするために利用者さんがすることは
ケアマネジャーに相談する
これぐらいです。
相談するとケアマネジャーが住宅改修の出来る事業所を探して紹介してくれます。
あとは書類に記入するだけ。ハンコは用意しておきましょう。
自力で住宅改修した場合も対象となりますが、対象となるのは材料費だけだし必要な書類を用意するのは結構面倒くさいので、やっぱりケアマネジャー通して業者に任せるのが良いと思います。
住宅改修をする前に知っておいた方が良いこと
工事開始まで時間が結構かかる
住宅改修をしようと思っていても、はいどーぞですぐにとりかかることは出来ません。
流れとしては
- STEP1 ケアマネジャーに相談する
- STEP2 業者と取り付けカ所の確認(写真撮影)
- STEP3 見積書作成
- STEP4 申請書作成→提出
- STEP5 許可証が届く
- STEP6 工事を行う
- STEP7 報告書作成(写真撮影)→提出
となります。結構時間かかる。
そしてSTEP5の許可証が届くまで工事を開始することが出来ません。
もし許可証が届く前に工事をしてしまうと介護保険が適用されず、全額自己負担となります。
STEP4からSTEP5は役所仕事なので正直どれくらいかかるか予想できません。
1週間ぐらいで来るときもあれば結構かかるときも。
許可証は利用者さんの自宅に届くので届いたらすぐにケアマネジャーか業者に連絡しましょう。
でないと業者が動くことが出来ませんので。
なので「すぐに手すりを取り付けたい!」と言われても対応できないのでなるべく余裕を持って相談してください。
入院中は償還払いになる
最終的に自己負担は1~3割になるのですが、支払方法が2つあります。それは
・最初全額支払ってあとから7~9割戻ってくる償還払い
・最初から自己負担額だけ支払う受領委任払い
です。今現在自宅で生活しているかたはどちらを選んでもいいです(個人的には受領委任払いのが良いと思いますが。)
ただ入院中の方は選べません。
入院中に退院後の事を考えて住宅改修する。
という方は償還払いしか選ぶことが出来ません。
まぁおそらくほんとに家に戻ることが出来るかどうか不明な状態で支給するわけにはいかん。ということなんでしょう。
これはいくら軽度な状態で入院してると言っても通りません。
生活保護で入院中の方は要注意
生活保護を受けている方も住宅改修をすることは可能です。
ただ生活保護の方は受領委任払いしか選択することが出来ません。
つまり入院中は住宅改修の申請すらできません。
退院後のための準備が出来ないのは不便ですがなぜか制度でそうなってるんですよね~。
工事内容が変わると対象外になる
工事をする前に工事個所の写真を撮ります。
そして工事後に同じ場所の写真を撮ります。
そうすることでほんとに今回の工事で手すりを取り付けたということを証明するんですね。
なので、工事の途中で「やっぱりこっちにつけて」と手すりの場所変更を指示されると
めちゃくちゃ困る
工事前に撮った写真にそこが映ってくれていればまだなんとかなる。
工事前にはなかったですよ~っていうのが証明できるから。
ただ写真に載ってないところに変更となるともう無理。
そこの手すりは介護保険対象外になります。
それかもういちど申請のやり直し。(変更申請ってのがあります)
めちゃくちゃ困る
もう工事の職人さん来てるんすよ。
一回帰ってもらってもう一回来てもらうとか人件費もありますし!
なのでほんと取り付けカ所はしっかりと話し合いをしてください…。
最後に
住宅改修を効果的に行うことが出来ればかなり行動の幅が広がります。
ほんと手すり1本で出来なかったことが出来るようになる!
高齢者の方の中には「国のお金を使って申し訳ないわ~」という人もいらっしゃいますが
そんなん気にせんと使えるもんは使わんと~!
今日はここまで