これからますます高齢化社会が進む中、誰もが介護というものを意識していく必要があります。
しかし、介護保険についてよくわかっていない方も多いでしょう。
介護業界に携わって10年以上の僕が、介護保険の事を全くわからない人にも伝わるようなるべくわかりやすく介護保険利用の流れについて説明していきたいと思います。
そもそも介護保険とは
介護保険制度は2000年4月からスタートした制度です。
40歳になると皆さん介護保険への加入が義務付けられ、保険料を支払っていくことになります。
介護を必要とする状態になると特定の介護に対して費用の一定金額を市町村が代わりに支払ってくれる保険です。
※基本的に9割市町村で1割自己負担となりますが、所得に応じて自己負担が2割や3割になる方もいます。
介護が必要だと感じたら介護保険を利用しないとほんとにもったいない!
なにもわからず自力で介護している方!周りにガンガン頼っていきましょう!
その介護保険を利用するためにまず行うのが要介護認定です。
要介護認定とは
「介護を必要とする状態」と言われても人それぞれで、どの状態だと介護が必要なのか?というのがわかりにくいと思います。
そこでまず客観的に「介護を必要とする状態」かどうかを、必要であればどの程度の介護度かを決めるために行うのが要介護認定です。
要介護認定を受ける方法は
- 市町村の窓口に相談
- お近くの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所で相談
の2通りが主でしょう。
個人的にはお近くの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所で相談をおすすめします。
(無料で)申請を代行してくれる上に今後の流れが楽になります。
地域包括支援センターや居宅介護支援事業所ってなに?と思う方も多いと思いますが、簡単に言うと介護の相談に乗ってくれる専門のお店です。
意外と近所にあり、インターネットで調べるとすぐに最寄りの事業所が見つかりますよ。
要介護認定は基本的に65歳以上の方であれば要介護認定を受けることができます。
また、40歳から64歳までの方でも以下の特定疾病に該当する方は対象となります。
- 末期がん
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核変性症及びパーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害、糖尿病性腎症及び糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 変形性関節症(両側の膝関節又は股関節に著しい変形を伴う)
要介護認定の申請を行うと調査員の方が自宅や病院など利用者本人のいる所に調査に来ます。
そこで本人の体の状態を調査し、後日要介護度というものが決定されます。
要介護度とは
要介護認定の調査が終わり1ヶ月近く待つと要介護度の結果が出ます。
要介護度とはその人がどれぐらいの介護が必要かという目安となる値です。
- 自立
- 要支援1・2
- 要介護1・2・3・4・5
の8段階で表されます。それぞれについてもう少し詳しく説明します。
※はっきりとした線引きはされておらず、経験からのあくまで持論です。
自立
介護の必要がないと判断されると自立となります。
介護保険が適用されず全額自己負担となりますが、この状態の人は介護サービスを使うことはないと思うのでそのまま体調に気を付けて元気に過ごしてください。
要支援1
基本的には自立して生活することができているが、複雑な動作の一部に介助が必要な状態。
立ち上がるのがつらいなーという方。これ以上悪くならないよう、自立状態に戻せるよう介護予防サービスを利用することができます。
要支援2
基本的には自立して生活することができているが、動作の一部に介助が必要な状態。
歩行器があれば歩行できるぐらいの方。見守りが必要。これ以上悪くならないよう、要介護にならないよう介護予防サービスを利用することができます。
要介護になると運動機能だけではなく思考力も加味されるようになります。
介護サービスを利用することができます。
要介護1
なんとか自立して生活することができているが、動作に介助が必要な状態。
また思考力や理解力の低下がみられる。
一人で起き上がるのが難しかったり、歩行に介助が必要な方。
要介護2
自立での生活が難しく、様々な動作に介助が必要な状態。
思考力、理解力の低下がみられ問題行動を起こすことも。
食事やトイレ、お風呂での介助が必要になってくる方。
金銭の管理にも気を付けたほうが良いです。
要介護3
全面的な介助が必要な状態。片足での立位保持が困難に。
食事やトイレ、お風呂で全面的な介助が必要になってくる方。
要介護4
介護がないと生活が維持できない状態。
寝たきりに近い状態です。かろうじて意思疎通できるかという方。
要介護5
寝たきり状態。
1日の大半をベッドで過ごし、意思疎通も難しい方。
要支援2と要介護1は簡単にいうと思考力や認知力の違いです。
身体は丈夫でも認知が進んでいたら要介護1になることもありますし、
逆に身体が動かしにくくても、頭がしっかりしている人は要支援になったりします。
ただ経験上言えるのは要介護1以上の結果を受けた方は要介護度が良くなることはほとんどないでしょう。
例外的に骨折や手術をしたときに要介護認定を受けて、治ったら要介護度が下がるという方はいますが、自然と要介護度が下がるというのはとても難しいことだと思います。
なので今介護される方もする方も現状維持ができるよう頑張って下さい。
要介護認定を受けて要介護度が決定したらようやく介護サービスの利用です。
※実際には要介護認定の申請をした日からサービスを受けることができますが、下手すると自己負担が大きくなる時があります。
介護(予防)サービスとは
利用者の方が安心して生活ができるように受けることができる様々なサービスです。
種類がたくさんあり覚えるのは難しいと思いますし、覚える必要はありません。
後述しますが覚えるのは1つだけでいいです。
どんなサービスが利用できるのか。
大きく分けて
- 自宅で生活しながら受けるサービス 18種類
- 施設に移住して受けるサービス 8種類
とあります。
内容を簡単に記すと
自宅で生活しながら受けるサービス
- 居宅介護支援
- 通所介護
- 通所リハビリ
- 地域密着型通所介護
- 療養通所介護
- 認知症対応型通所介護
- 短期入所生活介護
- 短期入所療養介護
- 訪問介護
- 訪問入浴
- 訪問看護
- 訪問リハビリ
- 夜間対応型訪問介護
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
- 小規模多機能型居宅介護
- 看護小規模多機能型居宅介護
施設に移住して受けるサービス
- 介護老人福祉施設
- 介護老人保健施設
- 介護療養型医療施設
- 介護医療院
- 地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護
- 特定施設入居者生活介護
- 地域密着型特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護
となります。もう一度言いますが覚える必要はありません。
正直重要なのは1つだけです。
居宅介護支援
これだけ覚えてください。
ちなみに僕が担当しているのは
- 福祉用具貸与
- 特定福祉用具販売
です。介護用品を取り扱ってます。
居宅介護支援とは
これから受けようとするサービスを計画してくれるサービスです。
通称ケアマネジャーと呼ばれる専門家が介護(予防)サービスの提案をしてくれ、ケアプランを立てることでサービスを利用することが可能となります。
逆に言えばケアマネジャーが決まってなければどの介護サービスも利用することができません。なのでこのケアマネジャーの権力がめちゃくちゃでかい・・・
つまりこのケアマネジャーにしてほしい介護内容を相談すればあとは全部良い様にしてくれるってこと!しかも無料で!
- 日中介護できないからどうにかしてほしい。
- お風呂に入れるのが難しい。
- 福祉用具を利用したい
- 家に手すりを取り付けたい
なんでもいいです!相談内容に合ったサービスを見つけて提案してくれるのがケアマネジャーです。
ただ介護サービスでは出来ないこともあるので100%なんでもできるわけではないですあしからず。
ではその居宅介護支援はどこで受けることができるのか。
それが
お近くの地域包括支援センターや居宅介護支援事業所
です。
そう!最初の方に記しました要介護認定の相談をした所。ここにいるのがケアマネジャーです。
要介護認定の時点でケアマネジャーと話をしているので一番スムーズにサービスを受けることができるでしょう。
今困っていることを全部吐き出して納得のできるサービスを受けましょう。
もしケアマネジャーとそりが合わない場合や納得いかない場合はいつでもケアマネジャーを変更することが可能です。最初からケアマネジャーを吟味する必要はあまりないでしょう。
最後に
介護が必要になる場面は急に来ることが多いでしょう。
- 骨折して動くことができなくなった。
- 認知症がいつの間にか進んでいて問題行動を起こすようになった。
- 脳梗塞で半身麻痺になった。
そんな時に介護保険の申請もしないと、とやることが多くてパニックになるかもしれません。
いったん落ち着いて近くの居宅介護支援事業所に相談に行ってください。
専門家から色々話を聞くことでやるべきことが整理されていくと思います。
色んなサービスがあるので困っていることが解決する道が見つかるはずです。
僕の専門でもある福祉用具も意外と色んなことが出来ます。
わからないことはとりあえず聞いて専門家の知識に頼りましょう。
初めて介護をする方、される方。不安だと思います。
そんな方に少しでもお役に立てれば幸いです。
今日はここまで